2000年カレンダー
そして更に翌年の2000年。今度は紙以外の画材のチェックをやり直しました。が、過去に、一度全部チェックしたものばかり。チェックしたものは、ホルベインのカラーインク、ホルベインのチューブ入りの画材”HWC”、ドクターマーチン、リキテックス。ポスターカラー。
(以前テレビで美大生とかが、顔料の粉を直接買うのを見たことがあるが、私には未知の画材で手が出ませんでした。多分それだろうと思うのですが。)
行き詰まったその時、・・・?そういえば、何か一つ、画材を忘れているような気がしました。試しもせずに最初から頭の中から削除していた画材がまだ私の家にはありました。その画材は、自分が物心つく頃から使っているもので、しかもマット画材。ですが、これは厚く重ね塗りをしないとムラができて使えない。おまけに色を伸ばすとカスレるはず。使いにくくて、もうずっと以前に駄目押しをした画材。お分かりでしょうか?そう、その名も”さくらマット水彩”!!
まさかと思い引っ張り出して試してみました。するとどうでしょう、すばらしい発色、塗りごこち!この”アルシュ”という水彩用紙に色をのせると、ホルベイン、ドクターマーチンより発色がいい。おまけに、水で溶いて薄く引き延ばしても、全然平気。カラーインクとは違い乾いた後水に溶ける。重ね塗りができないと思っていましたが、それは、下書きが見えないほど重ね塗りをした場合と紙が水を吸わない時だけだということが分かりました。
更に!!??・・・思い出しましたぁ。”緑色に白くカビの生えたような白い粉があったのを見た”記憶は、小学生の頃に描いた自分の絵に同じ効果があったものだったのです。その時の画材が”さくらマット水彩”。
これで、画材決定!早速作業に取り掛った所。ばっちり狙いの効果が出せるようになりました。(カラーインクの時から試していた技があるのですが、ことごとく失敗していました。それが嘘のように「カキーン!ガキーン!!」と音が出るように決まるのです。)そして完成にこぎつけることができました。年季の入った自分の前に描かれてた方には及びもしませんが、試行錯誤の中でいつの間にか自分流が入ってたりして、使った画材は違うもののそれなりに面白い出来になりました。
その後
この件があってからは、わたしの中で最下位だった”さくらマット水彩”がトップに踊り出たのは言うまでもありません。入手しやすさでは、どの画材にも引けをとりませんしね。(コンビニでも売ってるし・・・)
この仕事で気づいたこと。
さておき、この仕事でいろいろ気が付いたことがあります。それは、それぞれの画材には100%を引き出せる組み合わせとステージがあり。それを引き出してやるのがアナログ画材、CGも含め一番いいということがわかりました。(正確には、狙った効果が出せる画材の組み合わせ、ですけど。)今回はサクラマット水彩とアルシュの水彩用紙の組み合わせが良かったのですが、カラーインクも自分のステージ、特にホルベインなどは、同じメーカーの高級水彩紙ワットマンとの組み合わせで100%引き出せるかもしれません。(すみません、後に買ったまま試していません。)他にも、自分は使えないと思っているものも一番いい相性のものがあるでしょう。見つけるまでが大変ですが、見つけた後は、協力な自分のスキルになることは間違いないですね。
アナログとデジタル
最近では、イラストのDATAはメールでやり取りできるし、急ぎなどの場合はそれが結構有効なことと、企業が編集にパソコンを使用する為、ほとんどアナログ画での受け渡しが無くなりました。 (当時デジタルでOKですよと売り込んだのも自分ですが。)
又、DATAの方が持ち運びが楽で、取り込みなど手間がかからないことや、自分自身カラーなどは手書きよりスピードが早いし何より修正が楽なので(完成後の修正依頼は結構あるし・・・)、ほとんど最終作業はデジタルになりました。たまには、こういう失敗したら終わりってのも集中力を使うので楽しいですね。このタイプは手書きならでわって効果もありますし、原画の迫力ってのはそれなりにすごいものがあります。。
特に最後の2000年カレンダーは、学生時代以来の木パネルに水張りを施して描いたこともあって、「くう〜っ、これがアナログだー」って、ちょっとその手間を楽しんでみたりして。(時間が無い時失敗したら死ぬほどダメージがありますけど・・・まさに命がけだ)
残念な話
ただ、残念なことにこの仕事はこの2000年カレンダーでそれ自体終わってしまいました。また、別の形でこのような仕事があれば、やりたいですね。
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